百合について
百合が好きなのだけれど、何事もそこまで熱くならない性格のために普通の人よりは百合を読んでいるけれど「百合オタ」とまではいかない私が、ここ2週間くらいかけて巡った百合の先輩がたの「まとめ」を書いてみたい。(あわよくば「百合の現在」などと言いたいが私の力ではどうにも…)
百合を定義することは可能か
百合を定義することは非常に難しいように思う。一般的にいって百合というジャンルはレズビアンというジャンルと密接な関係性にあるし、両者を完全に分離して考えることはできないように思われる。それでもなおレズビアンから百合を独立して考えるとなると、どのような語りでもって定義づけが可能なのか。
私が百合と感じ始めたのはテレビ版エヴァンゲリオンが放送されていたころで、伊吹マヤに幼いながらも百合の萌芽を感じたものだが、決定的に百合世界に私を引きずり込んだのは『少女セクト』であった。
ネット百合世界の大御所的存在である中里一氏の書評にはこう書いてある。
完璧だ。これが百合である。
もしあなたがまだこれを読んでいないとしたら、きっとあなたは死につつあるのだろう。これはたとえ話ではない。実際に、人はそのように病み老いて死んでゆく。
2005年08月23日玄鉄絢『少女セクト』(コアマガジン)
これは私の予想だけど、98年に連載され始めた『マリア様がみてる』やそれ以前のセーラームーンなどで、なんとなく百合が好きだと自覚した人の中で、そのまま「なんとなく」で終わってしまう人とそうでない人の差異が形成されたのは、この『少女セクト』を読んだか読んでいないか、ということが深く関係しているのではないだろうか。
『少女セクト』はジャンルとしては「百合」にカテゴライズされうるが、早くもここで問題が生じる。
百合における肉体関係の有無
果て無き分類 チャート/グラフ化
百合における肉体関係の有無……百合を全く知らない人や百合神聖視論者はたとえば『マリア様がみてる』の清純、清浄な雰囲気を百合に投影しているだろうから、たとえ『百合姫wildrose』が刊行されようとも肉体関係を百合に組み込むことにはかなり反対するのだろう。そこで百合という領域を広めに設定して、百合の中でも○○派とか××系のように分類する作業が必要になってくる。(この作業自体は統一的な百合なるものを形作るうえで非常に重要だが、その果てしない分化が最終的には一なる「百合」ヴィジョンを再構築するためにフィードバックされるかはわからない。)なお、私は百合好きで比較的雑食なほうなのだが、いかんせん百合と触れ合う絶対量が少ないため、助力できないのが歯がゆい。
[文化]百合「的」作品をちょっと分類してみた。(id:makaronisanさん)
百合の定義などの話(id:catfistさん)
百合座標作成(id:Choir_Tempestさん)
makaronisanでは
「ガチンコレズビアン物」
「少女たちの恋愛感情」
「少女達の閉じられた空間の中で」
「ライクとラブの間なのネ。」
「百合的イメージを連想させる作品」
「友情と百合の境目で」
「女の子だらけワンダーランド」
「男性が女性化して百合になっているもの」
catfistさんでは
「アニメ:ストパンとかが好きな人。エロゲヲタもここ」
「漫画:志村貴子とかが好きな人。ラノベ読みもここ」
「小説:最もディープ。未知の世界」
「マリみて:それ以外よく知らない人 」
Choir_Tempestでは「半陰陽系」「お姉様系」「少女系」「GL系」
以上のような分類になっていて、一番これからが期待されるのは3番目のChoir_Tempestさんで、グラフ/座標でもって百合の位相幾何的位置づけを明確にしていこうという野心的なプロジェクト。
将来的には『少女セクト』は百合座標(x:y)=(14:-8)だよなー。とか言えるようになるのかもしれない。
一応自分なりにも考えた、「百合」とは
絶対に外さない「百合」の定義はロラン・バルト風に…
百合を構成するうえで必要不可欠なもの、それは「百合的なもの」である。「百合的なもの」なくして百合は成立しえない。「百合的なもの」は世界のあらゆるところに見いだせる。絵画、音楽、人々の雑踏……我々は「百合的なもの」を見い出さなければならない。
まぁそれはいいとして、私が考える百合は、完全にフィクションである、つまり、現実世界には「百合」は存在しない、と主張する百合=虚構説を唱えていきたいのだ。
百合とは、自己のジェンダーあるいはセクシュアリティーを明確に自覚することなしに、あるいは自覚することを拒否した女性同士の友情以上の関係性である、とここでは定義したい。
<恋愛>という行為は自分のジェンダーとかセクシュアリティーが少なくとも今現在はこうである、という意識なくして存立しえない。幼稚園児の男女が仲良くしていても、それは<恋愛>とは呼べないのだ。私は(多分)男と呼称されるジェンダーを生き、そして(多分)女と呼ばれるセクシュアリティーに性的指向のベクトルが向いているといった意識が必要である。
このことは異性愛者にとっては無意識下で行われるかもしれないが、同性愛者にとっては意識せざるをえないのが現状だろう。(私は女だが女が好きだ…)という自覚は現実で予想される様々な障害や落差に対して、どう立ち向かっていくのかを考えさせ、ある者はレッテルの恐怖から相手に自分の心を打ち明けることができないでいるかもしれない。*1
一方でファンタジーである百合では、媒体を問わず、こうした現実的な面というものが強調されることは少ないように思われる。
個人的な「百合≒レズ」の線引きのひとつとして、「女だからあの娘を好きになった」はレズで「あの娘だから好きになった。女だから、男だからは関係ない。たまたま女だった」は百合だという持論があります。
(真・業魔殿書庫さん/2007-09-18)
「たまたま女だった」という意識。これは現実的ではない。にもかかわらず多くの作品で、百合は「普通」のこととして受け止められている。『少女セクト』でも志村貴子『どうにかなる日々2巻』でも女が女を愛することに登場人物たちはほとんどためらいがない。もちろん異論もあるだろう。たしかに数は圧倒的に少なくなるが、女だから、という理由で断るケースも存在する。しかしその時の拒否の姿勢や社会的影響(あるいは制裁)は現実とは乖離しているのではないだろうか。
志村貴子の『青い花』でも「女が女を愛する」ことがそれほど抵抗なく受け入れられる。「正常」な性/ジェンダーの埒外にあるという点では『放浪息子』を参照するのもあながち場違いではないかもしれないが、『放浪息子』では『青い花』とは決定的に違う点がある。それは「攻撃性」とでもいおうか…。明らかに「正常」な社会から逸脱した二鳥くんの女装デビューに対するあからさまな批判、制裁、そして彼自身の内省。詳しくは『放浪息子』9巻を読んで欲しいのだが、とにかく百合=ファンタジーでは、ここまでの「攻撃性」を内包することは珍しい。(というか私は知らない。)
BLでも百合と同じことが言えそうだ。ホモソーシャルの中において男が男に告白することは今なお大変リスキーであるが、彼らはそういったレベルを超越して愛し合う。
これからの百合 イデオロギーについて
とりあえず、百合の現在らしいものと私個人のまとまりのない百合定義を終えて、今後の百合カルチャーについても少し触れたい。
先ほども挙げたChoir_Tempestさんの百合党結成というプロジェクトは興味深い。Choir_Tempestさんや一番最初に名前を挙げた中里一さんのように百合的イデオロギーをつくっていこうという流れは個人的に応援したい。
それで、まぁ一応私も百合好きなので一言いいたいのだけれど……。
つまり、「百合好き男子の名前」ってやつだ。私は男なのだけれど、百合が好きな男の名称は未だに確定してないようである。そもそも百合という高貴な花の名前を冠しているものが好きなのだから、美しい名前でなくては台無しである。
腐男子というのはもってのほかである。だいたい、これはBLが好きな男のためのものだったのだが、百合好き男子の名称が確定しないために暫定的に、あるいは誤用によって百合好き男子にも使われるようになったらしい。(参考腐男子)
だから、今日ここで私が発表したい名称がこちら!
百男子(ももだんし)
これは一目で「あ、百合好きなんだな」と思われるし、響きもやんごとない感じがすると思うので、この記事を読んだ百男子の方々は是非、普及に努めてください(笑)
*1:私個人としては、同性愛者への偏見や差別は絶対に許してはならないと思っている。百合やBL文化がさらに浸透すればいつの日かそうした差別が消えることもあるのだろうか?
メモ
さて、レポート書かないといけないわ……。
百合作品分類
「百合」の定義とは?
百合党結成への道
女性的ホモソーシャルについて
示唆的な百合定義への構築過程
<傷つける性>と百合
百合と恋愛、セクシャリティ
百合の先達様
「少女セクト」について
空中分解マンガ
「おまえのブログは読みづらいんだよ、長いんだよ」と批判されたので今回は割と手短に終わらせます。
お題は空中分解しそうなマンガです。最近読んだ中で「えぇ!?これ……いや、えぇ!?」というマンガを独自の視点から考察してみたいと思います。
どこにいくのだ、このマンガは!?
- 作者: びっけ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2009/04/01
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雨が降ると男から女に変わってしまうようになった男子高校生5人。
女体化した時にはしょうがないので、隣の女子校に通うことになるけれども……??
いい感じでしょ?萌えポイント多数存在の良質なTSものを期待できそうでしょ?
ところが、どうも盛り上がりに欠けるところがあるのです。女体化したまま女の子と映画を観てる最中に、男に戻ってしまう話が1巻に載ってるのですが、この話のラストはドタバタしすぎていまいちわかりづらい。というか、このTSストーリーは基本的に女性向けの掲載誌で連載されているものですから、それが提供する「萌え」と男がのぞむ「萌え」と若干の乖離があるのかもしれません。
たとえば着替えのシーンだったら、男性諸君は「キターっ」とかなるのですが、びっけ氏の場合はそうならない。意外とすらっと流れていく。少なくともお色気的要素はそこにはない。
空中分解ポイント
おっと。このままだと僕の話が空中分解しそうでした。話を戻して、ではなぜこの作品が空中分解しそうなのかという「空中分解ポイント」を発表したいと思います。
第8話の表紙絵です。これ、どっちも普通の女の子なんですよ。
何が問題かというと二人の間に咲き誇る一輪の百合の花!!
そうなんです、びっけ氏は大胆にもTSものに百合を、しかもこんなにはっきりと百合を導入したのです!
まぁTSに百合なんてありきたりな話だろ、とその道の玄人さまにご指摘されそうですが、それがですね、かなり複雑なんですよ。
というのも、この右側に写ってる女の子が(多分)百合属性で隣の女の子のことが好きなんです。ところが、このおさげの(愛される側の)女の子は、女体化してる主人公(つまり元は男)と映画観たりしてるのです。で、この主人公は男としておさげ女の子のことが気になり始めてるご様子。さらにこのおさげは寮監の妹だったりと複雑極まりない関係になっているわけです。え?説明がわかりづらい?いや、わかりづらいのはオレのせいじゃねぇぜ…多分。
しかも女体化してるのは全部で5人もいるのですよ!それだけでも神ストーリー展開でないと上手くまとまらないのに、そこに百合という軸まで入れてるのです。3次元のグラフには収まりきらないですよ。
ただ、びっけ氏のマンガはすごい好きなので空中分解しないように頑張ってほしいです。
- 作者: びっけ
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- 発売日: 2007/01/15
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09/10ー12マンガ
さすがに買ったほうがいい気がしたので昨年の10月に手帳を買いました。でも、友達もいない僕なので、予定があんまりないのですよね。テスト期間とか年末とかは忙しいのですが、それ以外の期間ってバイトくらいなものですから非常に寂しい手帳となっているわけです。そこで読んだ/買った本とマンガをきちんと記録しようということにしました!
「なんかサイフの中からお金消えていくの早いな…盗まれてるとちゃうんか?」なんて思ってたんだけど、そんなことなっしんぐ!!これだけ買えばなくなるわなw
普通に買ったもの
なるたる全巻(12冊)
- 作者: 鬼頭莫宏
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/01/19
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エマ1〜6巻
- 作者: 森薫
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2005/08/31
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エマより周りの登場人物の方が魅力的。一番おもしろいのは後書きだ!
スティール・ボール・ラン16〜18巻
STEEL BALL RUN スティール・ボール・ラン 18 (ジャンプコミックス)
- 作者: 荒木飛呂彦
- 出版社/メーカー: 集英社
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バクマン5巻
- 作者: 小畑健,大場つぐみ
- 出版社/メーカー: 集英社
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ピューと吹く!ジャガー14〜16巻
- 作者: うすた京介
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/01/04
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ぼくらの11巻
ぼくらの 11 初版限定冊子付き版 (小学館プラス・アンコミックスシリーズ)
- 作者: 鬼頭莫宏
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/12
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アオイホノオ3巻
- 作者: 島本和彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/12/12
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シャーリー
- 作者: 森薫
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2003/02
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おひっこし
- 作者: 沙村広明
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イエスタデイをうたってEX
イエスタデイをうたってEX ~原点を訪ねて 冬目景 初期短編集~ (愛蔵版コミックス)
- 作者: 冬目景
- 出版社/メーカー: 集英社
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僕らの変拍子
- 作者: 冬目景
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
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特に1980年代後半あたりの(それよりもう少し古いかも)雰囲気が、いいんだなぁ。
空色ガールフレンド
- 作者: リカチ
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2009/11/18
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よつばと7巻
- 作者: あずまきよひこ
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観用少女1巻
- 作者: 川原由美子
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ひみつの階段全巻(2冊)
- 作者: 紺野キタ
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2009/08
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みかこさん
- 作者: 今日マチ子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/10/23
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それでも町は廻っている6巻
- 作者: 石黒正数
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2009/10/30
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日常5巻
- 作者: あらゐけいいち
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/10/25
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来世であいましょう
- 作者: 小路啓之
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- 発売日: 2009/10/24
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真空融接 上・下
- 作者: びっけ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2007/01/15
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あめのちはれ1〜2巻
- 作者: びっけ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2009/04/01
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TSものに必ずついてくるであろうエロスの描かれ方が若干違うような気がするけど、どうだろう?
オークションで購入したもの
攻殻機動隊1〜2巻
- 作者: 士郎正宗
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/10/05
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読んでで思ったことは、なんでこんなにエロチックなシーンが出てくるのかということ。
一つはジャパニメーションの特徴だから。もう一つは人体が機械化・システム化・メディア化されようとも、人間の本質的問題としてエロティシズムは欠かせないから。どっちだろうか…。
上海丐人賊1〜2巻
- 作者: 草【ナギ】琢仁
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1994/07/01
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線に迷いがなく、画面全体に凛としたものを感じさせる。美しい。超おすすめ。
アマゾンに画像がないので僕が撮ったやつを以下に掲載。
主人公 匪 東風(フェイトンプウ) かっこいいー
カチコ様
「ままならんものだな 貴様らの科学(ばけがく)とやらも
ひとつ覚えておくがいい…
少女も悪夢をみるのだよ…」
(独自の推計によると男性の4〜5割はカチコ様に跪きたい願望を持っているらしいw)
イハーブの生活全巻(3冊)
- 作者: 小路啓之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/12
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春休みにでも書こうと思ってるけど、このマンガは非常に読みづらい。バクマンの比ではない。
1つのコマに情報が錯綜している感じ。読んでいると酔ってくる。トリックも複雑。
でも小路さんの問題系はこのころから形成されていたんだなぁ、と参考になる。話自体もけっこうおもしろい。
BSマンガ夜話のお話
- 作者: 志村貴子
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2008/03/20
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見ててドキドキ♪
初めて見たのでなんともいえないのですが、まぁ普通のゴールデンタイムには流せないっていうか、放送事故とまではいかないものの、かなりドキドキする番組でした。夏目房之介さんが初っぱなから「このマンガはわかりません」発言してビックリしたんですが、1時間の番組の中で、なんともいえない微妙な空気が流れていましたよね…。
マンガは感情移入して読むものなのか?
夏目さんは「誰に感情移入していいかわからない」らしくて、作品のプロットを理解するのにかなり手間取っているようでした。僕はこんな記事書いてるんですから、もちろん『青い花』は好きなんですが、誰かに感情移入して読むという意識を全く持ったことがなくて、この発言にはかなり戸惑った、というか理解に苦しんだのです。たしかに振り返ってみればふみちゃんのモジモジさに感情移入し、あきらちゃんと一緒に困惑していたかもしれませんが、特定の誰かに気持ちをシンパサイズすることはなかったように思います。だから最初から夏目さんの「わからない」がわからなかったのです。
閉じられた世界の是非
何回も触れられていたキーワード。それが「この作品は閉じられている」あるいは「円環構造」とか「外部が存在しない」というのも同義になるかと思いますが、このことが『青い花』を語る上でことさら強調され、さらにそれがある種のネガティヴなニュアンスを伴って使用されたことに僕は驚きました。彼らは(とくにレギュラー陣、つまりおじさま方は)百合というジャンルにカテゴライズされる作品にはなにかしら、外部からのつっこみのようなものがあったといいます。対して『青い花』はまず「大人」がいないというのです。各務先生などたしかに大人は登場するけれど、彼らが高校生を客観視できるにいたっていない、要するに高校生たちと同一の地平で語り合っている(みたいなことだったと思うのですが忘れましたw)という主張。つぎに非-リアルであること。登場人物たちはもちろんリアルのように描かれているのだけれど、少しだけ現実と乖離している印象を受けたようで、たとえば杉本先輩は現実にはもっと性格悪いだろーとかいう感じの…。
そんなこと言っちゃうの!?って感じですよね。そもそも『青い花』という表題自体、ノヴァーリスの青い花を連想させ、一般的にも青い花というのは理想の、ということはつまり現実にはたどり着けないもの、手につかめないものの喩えとして使用されるわけで、僕はむしろ「閉じられた世界」のほうがこの作品にはふさわしいように思えるのです。
簡潔にいいましょう。レギュラー陣のおじさま方は『青い花』を完全に読み込めていなかったのです。彼らはこのマンガの何について語ればいいのか、何を語れるのかを全く把握していなかったように思うのです。別に責めるわけでもなんでもないのですが、たぶん彼らは本当に「わからなかった」のだと思います。たしかに『青い花』はわかりづらいかもしれません。
『青い花』わかりづらい点いくつか
まず、4巻ラスト。ついに肉体関係の描写がでてきて次回に続く!って感じで終わっているところです。このシーンは番組内でも「この描写で今までの世界が崩壊するよね」的なことを誰かが言ってましたが、まさにその通りで、今まで理想、非-リアルのままであったマンガ世界に一気に肉体という朽ち果てる、忌むべき表象が登場しちゃうんですよ。だから4巻まではリアルじゃないのですが、4巻からは、少なくとも最後ではリアルへの世界が開けたといっても過言じゃないでしょう。ここで上述の「閉じられた世界」という主張は崩れると思うのですが、いかんせん4巻までしか語れないので、なんとも尻切れトンボのような議論になってしまったわけです。
つぎにジャンルの不確定さが挙げられます。これって「百合」なの!?っていう問題です。
百合を定義するのにもままならないわけで、ジャンルわけは不可能だと思うのですが、それでも一応世間では百合作品として認知されているじゃないですか。でもモギーとあきら兄との恋愛もでてくるし、「百合ってあんまり好きじゃないけど『青い花』は大丈夫」っていう人も多いと思います。だから論点も「『青い花』における百合」じゃなくて「『青い花』って百合なの?っていうか百合ってなに?」という本筋から離れた方向へと進まざるをえませんでした。
また、掲載誌の問題もあると思います。エロティクスFですけど、これが一応男性向けだという話でしたが、それも微妙ですよね。正確な読者層は知りませんがFを読む限りでは、とりあえずエロティックならOKというか…。ということは誰に向けられて発信されているマンガなのかすら明確ではないということになり、結果として『青い花』を語る上での共通のコンセンサスが生成されづらい状態が生まれてしまったというわけです。
もちろん良かったところもあったのです
たとえば夏目先生のコマ割り講座。模範的なコマ展開読解でしたね。目線と吹き出しは基本ですが、さらにコマ内に流れる風まで分析するとは、すげぇぇぇ!!
あとどなたか忘れてしまったのですが、男性性の崩壊と結びつけて語ろうとしていた人がいましたね。つまり現代の男性は自分の男性性を重荷に感じているというわけです。そうしたいわゆる草食系男子と呼ばれる男性にとっては、『青い花』はわけなく読める、すらすら読めるのだろう、という主張でした。実に興味深いですね。
まとめ
とにかくハラハラドキドキの1時間でしたよ!
夏目先生の「わからない」発言。
ゲストの女性とレギュラー男性陣のテンションの差。
岡田さんの「2巻では、この作者は自分の絵の下手さを隠そうとしているとしか思えない」発言w
いしかわさんの「背景を書こうっていう意識が感じられるし、この子は絵上手いよ」などなど……。
まぁ志村貴子を語る難しさ、百合ジャンルの不確定さ、ジャンダーと世代間ギャップなどマンガにおけるアポリア続出の見ていてニヤニヤがとまらない放送でした!!
- 作者: ノヴァーリス,青山隆夫
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<もはや時間と空間の秩序は絶え、ここでは過去に未来があらわれる。>
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2009年は鬼頭莫宏
このブログにあんまり登場しなかったのですが、僕は鬼頭莫宏大好きっ子でして、今年一年を振り返った時、2009年は鬼頭莫宏がいろいろな場面で登場したんじゃないかなーと思うわけですよ!
鬼頭作品
単行本としては
- 作者: 鬼頭莫宏
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- 作者: 鬼頭莫宏
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雑誌に掲載された中で重要なのは
ジャンプ SQ. (スクエア) 2009年 10月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/09/04
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それで、その「これからの作品」というのがこちら。
good ( グッド ) ! アフタヌーン 第7号 2009年 12月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: 講談社
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あと、イブニングで『のりりん』も連載スタートになりましたね。こっちはあんまり死なないらしいですけど…
※参考
http://alfalfalfa.com/search?q=%E9%AC%BC%E9%A0%AD%E8%8E%AB%E5%AE%8F
というわけで鬼頭さん、今年は単行本2冊、新連載2つなど、けっこう注目が集まる年だったと思います。
現状を肯定するしかないじゃない!
文化的側面から
この前、塾で小学4年生に国語を教えていた時に読んだ「説明文」がおもしろかったんですよ。
ある文明に鉄がもたらされた場合、その文明がどのように変容するか、というものだったのですが、そこで2つのタイプが紹介されていました。
1つはパプアニューギニアあたりの文明で、そこでは鉄は西洋文明によって男にのみ利益をもたらしたそうで、木を切ったり狩りをする際に鉄を利用することで効率があがり、結果として余剰時間が増加しました。その余った時間で今までいけなかった遠距離の村の祭りに参加することができるようになったのはいいですが、祭り用の牛が大量に必要になり、そのうち牛泥棒が増えて村同士の争いにまで発展してしまったらしいです。鉄が男性にだけ利用され、最終的に争いを引き起こしてしまうのが興味深いですね。
もう1つはアボリジニーあたりの文明で、ここでも西洋文明によって鉄がもたらされたのですが、今度は女性が主役になります。どうしてかは長いので割愛しますが、とにかく鉄は女性に余剰時間を与えました。そこで彼女たちは何をしたかというと、ただ昼寝してたんですって!!
まぁ以上の2つのタイプは鉄を受容したのが男性か女性かという違いはありますが、どちらも非常におもしろいですよね。さらに続いて今度は日本のことにも触れていました。
日本には弥生時代に(とりあえず教科書的解釈をするとして)鉄がもたらされました。そこで様々な遺跡を調べると、どうやら日本人は鉄を使用することによって生まれた余剰時間を有効に活用していたらしいのです。たとえば河川の修復とかやっていたそうです。
ここで筆者はこう結論づけています。日本では余剰は余裕を生み出すのではなく、さらなる仕事を増やすのだ、と。
東浩紀の発言から
先日、大学で東浩紀の講演会が開かれて聞きに行ってきました。並んでる途中に(すごい列ができてて結局立ち見の人もいました。さすが人気者)僕の前にいた男たちが「え!?これって東MAXの講演会じゃないのかよ!!」って言ってて笑いそうになったんですが、それはどうでもよくて、とにかく東が講演会でこのような発言をしたのです。
フーコーのディスシプリンって結局は「気合いいれていこうぜ」ってことだろ!
これには会場全員、爆笑していました。
東の語りぐちは学生を意識してか非常にわかりやすく、親しみをもてたのですけれど、彼は一貫して「いいんじゃん、それで!」というスタンスをとっていたように思います。
跳躍したって落ちちゃうでしょ。
考えてみれば、現代の権力に立ち向かうなんて無理だし、民主主義も機能的欠陥を有していることが露呈してるし、かといって革命だの、ネットワークを駆使して波状攻撃だのなんてできないし……。それよりだったら、萌えのデータベースの海に溺れていたほうがいいのかな、なんて思ったりしたのです。(東さんに対して、この結論はあまりにも失礼だと思いますけれど!)
草食系男子的側面から
12月11日の朝日新聞でコラムニストの天野祐吉さんという人が、「草食系CM」という短い記事を書いていておもしろいなぁと思ったのです。
こういう人(注:草食系男子)たちがふえたら、日本はガツガツしない、優しい国になっていくんじゃないかと思う。
僕は草食系なんて言葉がうまれる遥か前から草食系男子で、幼稚園のころから近所の女の子とおままごとやったりと骨の髄まで女々しい*1奴なんですが、こういう草食系に対するポジティヴな発想は好感をもてます。だいたい草食系がメディアで取り上げられると、結局は優柔不断で恋愛に興味を持てないかわいそうな奴らみたいな扱いをされて、まぁ僕自身はまったくそのとおりなんで批判できないのですが、草食系男子の未来を考える点で天野さんのこの記事はおもしろいと思います。やや単純すぎるきらいはしますがね。
どうでもいい話
草食系男子で思い出したんだけど、僕の周りの男の子で「バイト先に女の子がいないから、バイトやめた」とか「好きなスポーツはセックス」とか「東浩紀なんか読んでもモテないよ」とか言うのがいてビックリしました。まぁ適当に話あわせましたけど、ホントに草をムッシャラムッシャラ食べる輩が増殖しているのか実感として感じられないなぁ…。
結論
いいじゃない、このままでも。GDP?円高?もういいじゃん。どうせ資源もない極東の島国なんだから。国土は豊かなんだから、餓死することないんだから、もうのんびりしてもいいじゃない…。うぅー働きたくねー。社会でたくねー!
(ここからが本当の結論です!)つまり、日本は緩やかに衰退していくのは目に見えているけれども、その中で必要以上の努力をすることはしないで、流れに身をまかせてもいいではないでしょうか。僕たちはアボリジニーの女性のように昼寝する人々をどうして笑うことができましょうか。上の写真は、すべてをあるがままに、現状を肯定していることをシンボリックに表現してみたのですが、どうでしょうか。今頃、近隣の学校に被害届がだされていないことをいのるばかりです…。
*1:この言葉が差別的意味を帯びているのは重々承知である。これは男性と女性という二つの性の狭間で揺れ動き、「オカマ」にもなりきれない不気味な自分に対する嘲笑である。