強くなります!

今回のハートキャッチプリキュアは定番の「己との戦い」編だったけれども、なかなかおもしろかったよね!


ブロッサム以外は己との戦いに勝つことができたけど、勝利=克己というよりもアウフヘーベン(aufheben 維持しつつ乗り越える)的解決が印象的でした。


たとえばサンシャインは、過去の自分、すなわち「人形や洋服など可愛いものが大好きなのに武道の家に生まれ、家を継ぐために、お兄様を守るために(自分を偽って)可愛いものを好きと言えない自分」という「影」と戦うことになるわけです。ところが、この「影の自分」はすでに乗り越えたものとして了解されていたはずです。それが証拠に(ここは演出が上手かったところですが)今回の最初の方でいつきが「可愛いものを可愛いと素直にいえる」ことが周囲から賞賛されていました。

つまり、影の自分=過去の自分はすでに乗り越えたものとして織り込みずみだったのです。
にもかかわらず、もう一人の影の自分と、いつき/サンシャインが今回なぜ戦わなければならないのか。

(サンシャイン)
確かにかつてはそうだった!……でも今は違う!武道が好きだからやっている!……自分の好きなものは素直に好きといえるようになった!!

(影のサンシャイン)
じゃあ、頑張ってきた私は、もういらないの!?


あるいはマリンのセリフ

(マリン)
つまり影の自分って昔の私のわけね

(影のマリン)
今でもそう思ってるでしょ!!


かつての自分を清算したと思っていたいつきですが、そうではなかったのです。自分の中には、やはり過去の自分、積み上げてきた自分がいるのです。人は過去と断絶して未来に進むことはできない。弱い自分=影の自分だと思いこんでいたサンシャインは「頑張ってきた私は、もういらないの!?」というセリフに戸惑います。


しかしサンシャインは気づくのです。そして攻撃態勢を解除して静かに言います。

(サンシャイン)
お兄様は太陽の光を浴びるようにすべてを……

あなたは敵ではないから……
だから私はすべてを受け入れたい。

過去を切り捨てるのではなく、すべてを受け入れる。それは弱さや悲しみをも受け入れるという辛い選択なのです。しかしそうすることで、いや、そうすることでしか未来に進むことはできないのです。自分の中にある「弱さ」を見つめる(内的自省)からこそ、心の花が枯れデザトリアン化した人々を救うことができる。「弱さ」をしってい
るからこそ救うことができる。




ここにハートキャッチプリキュアの良さが現れてると思うのです。
プリキュアはそもそも超越した存在です。人智の力を超えて、敵を打ち砕くのです。しかし、今シリーズの基本的な展開構造は「弱み→デザトリアン化→プリキュアによる共感→救済」です。弱さに共感することで救いをもたらすことができる。そういった意味ではハートキャッチプリキュアは超越とは無縁のプリキュアなのです。あえていうなら「弱い」からこそ「強い」のです。


ですから今回は、プリキュアたちのキャラクター造形に一段と内面性を獲得させるためのストーリーであると同時に、弱さに共感することを、自分を通して再認識する儀式だったのです!
そして儀式にはチェンジが伴うのです!!
そう、ハートキャッチプリキュアスーパーシルエット!!(ウェデングドレス!

かわいい!!あぁぁ来週も必ず見るよー!!