ヱヴァンゲリヲン新劇場版「破」

今日もヱヴァについて思ったことを散文(散らかった文)として書き連ねていこうと思います。
「破」があまりにも衝撃的だったので昨晩はあまり寝れませんでしたが、それでも久々に泣いたためカタルシスを得ることができたので無問題。

ヱヴァ「破」が怖い

冷静に振り返ってみると「破」がすごく怖かった。使徒がぶっしゃーんってなったりヱヴァがぐっしゃーっんとか、そういう怖さじゃなくて、漠とした恐怖を感じたのです。
たぶん、物語があまりにもうまく進み過ぎているからだと思うのです。もちろんシンジ的にはかなりバットエンドだったかもしれませんが、それでも旧作よりは「とんとん」と話がスムーズに進んでいっているような…。
それは総集編的映画特有の尺の問題とはまた違っていて、あくまでプロットの問題なわけ。


あまりにも出来過ぎた話だから、かえっていつアレが来るのかが怖い。つまり旧作劇場版の量産型のアスカのように「まるで救いのない」あの恐怖がふいに襲ってきそうで怖かったのです。未来へと全く「開かれ」ず、不可能的可能性すらも存在しないようなモノが、影に潜んでいて、いつ正体を現すのか……。

もっとも単純で原始的な恐怖のトリック

恐怖自身は「死」への恐怖だったり、そこにただあるという「イリヤ」への恐怖だったり根本的にはいろいろ考えられますが、人間が創作したその作品の中における、もっとも単純な恐怖を感じさせるトリックとはなんでしょうか。
僕は「矛盾」トリックが一番簡単で、原始的な恐怖トリックだと考えてます。

矛盾トリック

Aであるものが、非Aであるものと同空間内に共時的に現れること(あるいは現れていると感じさせること)が矛盾トリックの公式だとしましょう。そのわかりやすい例がこれ。
D
妄想代理人」のオープニングですが、恐怖を感じませんでしたか?w
この作品ってホラー的なんですけど、その恐怖を巧妙に隠蔽してるところがおもしろいんですけど、オープニングでもその趣旨を見ることができますね。はじめの女の子は、靴を両手に持って高いビルの一番上で土砂降りのなか笑っています。これが矛盾トリック。自殺する前に、あんなふうに笑うということが大いなる矛盾で、そこに原初的恐怖を感じることができると思います。(これ以後の場面でもひたすら「ありえない場面」で笑っています。その笑い方にも注目するとおもしろいです。)

それでヱヴァの話

今回の「破」もこれに似た仕掛けがありましたね。「翼をください」が流れるあのシーンなんてまさに矛盾トリック。ただヱヴァの場合は全編において矛盾トリックが仕掛けられている気がします。
あのお色気シーンも、綾波人間性の萌芽も、すべてはその裏側に「破滅」への道が開けていているような感じです。もちろん、これは前作を見ていたがための「深読み」というか「先読み」なんですけどね。とにかく漠とした恐怖感を常に感じていたのは確かです。あ、そのために号泣したのではないですけど!怖いから泣くとかそんなことしないもんげ!